[ 市場レポート ]
【シンガポール】モバイル端末によるインターネット利用時間は約2時間と短く、ソーシャルメディア利用者の90%以上がモバイル端末から
最終更新:2016-07-21 10:45:15市場レポート
ソーシャルメディア・コンサルティング企業「We Are Social」(本社:ロンドン)が発表している調査報告「Digital in 2016」には、全世界30ヶ国のインターネットやソーシャルメディアの利用状況に関する統計がまとめてられています。
今回は、この報告書から「シンガポール」の状況に焦点をあて、シンガポールのインターネットやソーシャルメディアの利用状況を見ていきましょう。
まずはシンガポールにおけるデジタル環境の総覧です。シンガポールの総人口565万人の82%に相当する465万人がインターネットを利用している結果となっています。ソーシャルメディアの利用者は360万人と人口の約64%が利用する結果となっていますが、そのうち90%以上の330万人がモバイル端末からアクセスしています。
次にデバイスのタイプ別に普及率を見てみると、スマートフォンが88%となっており、ラップトップPCを含むパソコンが71%と続きます。やはり、パソコンの普及率は東南アジア諸国と比べると高い結果になっています。
さらに興味深いのがメディアごとの利用時間です。1日のパソコンやタブレットによるインターネット利用時間は他のアジア諸国と大きな差は見られないものの、モバイル端末による利用時間は約2時間と短くなっています。ソーシャルメディアについても、利用時間が1時間39分と比較的短時間である点が特徴的です。
シンガポールにおけるインターネット普及率は国民の82%にあたる465万人となっている一方、モバイル端末による利用は66%という結果が示されており、パソコンなどデスクトップ端末の利用頻度が高いことが伺えます。
インターネット利用頻度に関しては、「毎日利用する」と答えたユーザーが84%と高い値が出ています。インターネットを週に一度も利用しない人の割合は5%と非常に低い値です。
ソーシャルメディア利用のデータも見てみましょう。再掲ですがシンガポールでは人口の64%に相当する360万人がソーシャルメディアを利用しています。インターネット利用時間の傾向とはやや異なり、ソーシャルメディアをモバイル端末で利用する人の割合は高くなっています。
続いて、どのようなソーシャルメディアが利用されているかもみてみましょう。シンガポールで一番利用されているのはWhatsAppで46%となっています。次いでFacebookが43%、Facebookメッセンジャーが26%という結果です。順位に多少の前後はあるものの、マレーシアと同じ傾向が出ています。
最後に、EC(eコマース)についてのデータを見てみましょう。シンガポールでは、57%の端末で過去30日以内に商品やサービスが購入されているという結果が出ています。モバイル端末でのネットショッピングについては30%の端末で過去30日以内に購買活動が行われており、総じて他の東南アジア諸国より10%ほど高い結果となっています。
今回はシンガポールのインターネット・ソーシャルメディアの状況をみてきましたが、パソコンによるインターネット利用時間がモバイル端末よりも大幅に長い傾向にあるのは興味深い点でした。シンガポールの経済水準が高い点も踏まえれば、プロモーションのターゲットも他の東南アジア諸国とは異なる層に設定することが効果的です。他方、国内総生産(GDP)成長率の下方修正などシンガポール経済に減速傾向がみられており、今後の国内情勢にも留意が必要です。