INBOUND REPORT

[ 市場レポート ]

【フォトレポート】地方空港から考える観光案内所機能の高次化〜カナダ・ハリファックス空港の事例から〜

最終更新:2016-10-12 11:01:51市場レポート

 観光案内所は来訪者にとって地域の玄関口であり観光の拠点となる施設である。訪れてみればその地域がどれほど本気で観光に取り組んでいるかわかる観光案内所は、地域を映す鏡であるとも言える。日本各地でも観光案内所の整備が進み、インバウンド対応も積極的に行なわれている昨今であるが、地方空港における観光案内機能についてカナダの事例とともに考えてみたい。日本の約26倍の国土面積を有するカナダには数多くの地方空港が存在する。
 今回ピックアップするのはカナダ東部ノバスコシア州の州都であるハリファックスに位置する「ハリファックス・ロバート・L・スタンフィールド国際空港(以下ハリファックス空港)」である。

 ノバスコシア州はカナダ建国の歴史を辿る史跡観光や美しい海岸線を辿るライトハウスルートなど多くの観光資源を有する。そのノバスコシア州玄関口となるハリファックス空港には州内の観光情報を提供する観光案内所が設置されている(写真)。ハリファックス市内の観光情報が提供されていることはもちろん、州全体の情報が地方別・テーマ別にまとめられており観光客の積極的な活動を促す「ルート化」が意識されていた。実際にサイクリングロードやドライブルートの地図を自由に手に入れることができ、さらに詳しい情報についてはスタッフに尋ねることもできた。一見、紙媒体のパンフレットが並ぶ一般的な観光案内所のようだが、宿泊施設やアクティビティの催行会社などの情報が目立つ観光者視点の情報提供がされていた点が印象的だった。例えば宿泊施設については、空港周辺のエアポートホテルのパンフレットだけでなく州内のホテル、B&B、モーテルなどの広域情報が提供されていた。他にもレストランや博物館、美術館、アクティビティなどのパンフレットが豊富に揃ってお現地に到着してから旅のプランを組み立てるのに十分であると感じた。特に外国人観光客にとって初めて訪れる地域というのは「世界遺産の街」といった大きなスケールか、「この有名な寺院」といった点的なスケールで捉えられることが多い。観光と地域の友好関係の構築には、観光による効果が地域の特定の事業者やエリアにとどまることなく、地域に広く波及することが重要であり、案内所はその点において観光客の地域理解を拡げ観光効果の最大化する機能が求められる。地方空港はまさに観光客にとって地域の玄関口であり、インバウンドにおいても地方空港の観光案内の役割が単なる情報提供の場からシフトアップする必要がある。訪日客のFIT化が進めば旅行の移動形態も公共交通の利用のみならず、レンタカーや自転車などを利用する旅行者が増え、より自由に目的地を設定できるようになっていくだろう。そうなれば訪日客の足はより地方へと向くことになり、地方における観光案内所の役割は高まっていくはずだ。

adoptoday20161012_1-1

写真:到着ロビーには大きくカナダ国旗が掲げられカナダに到着したことを旅行者に実感させてくれる。回転扉の出口を抜けるとエアポートシャトルやタクシー、ホテルのシャトルバス等の待機所があり、道を挟んだところに空港駐車場が整備されている。

adoptoday20161012_1-2

写真:ハリファックス空港の到着ロビー中央に設けられた観光案内所。カナダでは公共施設において英語とフランス語の二言語表記が義務付けられている。写真中央に州名の表記が見えるが左が英語表記、右が仏語表記。

PAGE TOP