【フォトレポート】尖った小規模宿泊施設の強み・役割

 日本のインバウンド市場において外国人観光客のFIT化が指摘される昨今ですが、FIT化が進めば観光客が利用する宿泊施設も多様化していくことが予想されます。日本全体ではホテル・旅館という二大施設が収容可能人数の多くを占めるわけですが、民宿やゲストハウスに加え民泊など宿泊施設の種類も増えています。海外に目を転じてみると日本でなじみのある形態のほかに、モーテルやB&B、ツーリストホームなど様々な施設があり、それぞれに顧客層やサービス内容に特徴があります。収容可能人数の少ない宿泊施設は統計上では小さな存在ですが、観光客のFIT化を考えるうえで見逃すことのできない要素です。小規模宿泊施設の役割について考える事例として、今回はカナダのプリンスエドワード島にあるB&Bを紹介します。

 紹介するB&Bはカナダのプリンスエドワード島西部ベイドフォードにある「Hilltop Acres B&B」です。プリンスエドワード島の玄関口シャーロットタウンからは車で1時間半ほどの距離ですが、商店や飲食店などは周辺になく公共交通でのアクセスは難しいため基本的には車でのアクセスになります。立地条件は決していいとは言えないこのB&Bですが、プリンスエドワード島州政府観光局の公式ウェブサイトから予約可能となっており、日本からの事前予約も可能な宿泊施設です。老夫婦が営むこのB&Bの特徴は、小規模ながらユニークで質の高い宿泊体験ができることです。まずは部屋の様子から見てみましょう

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写真1  Hilltop Acres B&Bの外観

 客室は合計で3部屋となっており、寝室や浴室の面積や装備によって価格が設定されています。写真2の部屋は最もリーズナブルな値段の客室となっていますが、家具や調度品に洗練された印象を受けます。また、左奥には観光パンフレットも置かれておりオーナーの細やかな配慮が感じられます。きめ細やかさは寝室だけにとどまらず、写真3のように非常に清潔で明るく快適な浴室が用意されています。

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写真2 客室の様子

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写真3 バスルームの様子

 B&Bですから朝食も大切な要素です。写真4は食卓の様子ですが、初めにオートミールに続けて焼きたてのパンケーキをいただきます。添え物には自家製のジャムや自家製バター、マフィンなど、このB&Bオリジナルの体験ができるようになっている点がポイントです。

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写真4 朝食が用意される食卓

 規模の大きいホテルでは得られないオーナーとのコミュニケーションもB&Bの特徴として重要な要素です。それは単に旅の楽しみであるだけなく、通常は地域住民しか訪れないような場所にまで観光客の足が伸び、観光の効果を波及させる効果があるからです。さらに、このB&Bには作家など発信力の強い職業人が長期滞在することもあるとのこと。すなわち、そこでしかできない体験を提供する小規模宿泊施設はこうした発信力の強い人物をも惹きつけ、資本の大きい施設に劣らない市場価値を発揮するということです。開業26年を迎えるこのB&Bですが、交通手段の限られる立地に加え客室数も少ない条件下でこれまで営業を続けてきている理由はそこにあるのではないでしょうか。日本の観光地でもゲストハウスや民宿を新しく始めた個人事業者の事例がよく聞かれます。価格帯の低い宿の存在も確かに必要ですが、観光を地域の基幹産業とし宿泊施設の収益性を底上げしていくには、こうした海外の高品質な小規模宿泊施設は大いに参考になるのではないでしょうか。

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