INBOUND REPORT

[ 市場レポート ]

就航エアライン(LCC)に見る東西インバウンド事情

最終更新:2017-02-21 10:37:33市場レポート

就航エアライン(LCC)に見る東西インバウンド事情
《成田空港》《関西国際空港》利用外国人の傾向

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①バニラエアを中心にオーストラリアなど広いエリアに路線を持つ成田空港

ここ数年で急激な成長をみせているLCCは、日本のインバウンドを語る上で外せない存在となっている。その存在感の背景にあるのは手ごろな価格設定だけではなく、拡充されている多様な就航路線や座席供給量の伸びにある。
成田空港に就航しているLCCのシェアを便数ベースでみてみると、25%を占めているのがバニラエアとなっている。バニラエアは拠点空港の台北と成田間を週28便運行しているほか、高雄・香港・ホーチミンへ路線を展開している。春秋航空は中国内陸の重慶や武漢へ就航しているほか、バンコク・マニラといった東南アジア諸国へ複数会社が就航している。こうしたアジア諸国への就航路線に対し、成田空港の特徴といえるのがオーストラリア路線である。オーストラリアのケアンズ・ゴールドコースト・メルボルンへジェットスター航空が週7便運航しており、LCCが中華圏のみならず英語圏に伸びている点は特筆できよう。

②ピーチを中心に中華圏との就航路線が充実の関西国際空港

オーストラリアを含む幅広い地域へネットワークが形成されている成田空港に対し、アジア圏との路線が充実しているのが関西国際空港である。就航しているLCCのシェア20%を占るピーチは、ソウルや台北、香港線に就航しており、便数も多い。ソウルや釜山、台北、香港といったアジアの主要都市へは、就航会社の数も多く、近距離アジアへのLCCの就航路線および座席供給量が充実しているのが関西国際空港の特徴である。また、主要都市のみならず天津や西安といった中国各都市へ春秋航空が就航したことにより、アジア圏へのネットワークがさらに拡充している。

③欧米豪・レガシー=成田空港、中華圏・LCC=関西国際空港の構図

日本の二大玄関口である成田空港と関西国際空港をめぐっては、ここ数年出入国者割合や就航路線の傾向から、成田=欧米豪・関西国際空港=アジアの構図が強まっており、LCCの就航路線からも大きなトレンドとしてその傾向が見受けられる。特に関西国際空港については、アジアと一口にいっても韓国・中華圏のボリュームが圧倒的である。

インバウンドに取り組む際には、空港別の市場分析を行うとともに、利用空港の違いについて、訪日客の観光行動も併せて考えていく必要があるだろう。

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