INBOUND REPORT

[ 市場レポート ]

訪日観光客はどこから入国してどこから帰る?

最終更新:2017-02-21 10:38:04市場レポート

~国内主要空港の入出国者に見る傾向とインバウンド対策~

Such large aircraft. Back view shot of young family with luggage standing near window in airport before boarding

①多様化する訪日ルート

こインバウンドにおける観光ルートと言えば、東京と大阪を結んだ「ゴールデンルート」が広く認識されるようになって久しい。東京・富士山・京都・大阪・広島が含まれるこのルートの特徴は、日本への入出国港として成田国際空港と関西国際空港に訪日旅行者が集中することにある。両空港の入出国者数の伸び率をみてみると、2014年から2015年にかけて成田国際空港で約24%、関西国際空港で約58%の増加が確認できる。たしかに、成田国際空港と関西国際空港が日本の空の2大玄関であることに変わりはないのだが、他空港の伸び率に着目すると、多様化する訪日ルートの存在が浮かび上がってくる。

②伸び率130%達成の富士山静岡空港

その代表格ともいえるのが、富士山静岡空港である。2015年に中国系航空会社の路線開設が相次ぎ、9月には中国本土を結ぶ定期路線が13路線週49便に拡大した同空港は、2014年から2015年の入国者数伸び率で133%を記録した。利用者のほとんどが中国の旅行者であり、一般的とされてきたゴールデンルートの形態が変化しつつある状況が端的に表れている事例空港である。他の空港の伸び率についても軒並み40%以上を示すなど、空港の入出国者数の推移から訪日旅行が様々な地域へ拡大している様子が伺える。また、富士山静岡空港は中国の旅行者の利用が9割近くを占める一方、福岡空港は50%以上が韓国の旅行者であるなど、空港ごとの渡航者国籍に大きな傾向の違いが表れており、日本の観光地間にも地域によって来訪者国籍の傾向に差異が認めれると考えられる。

③空港別の入出国者国籍は従来どおりの傾向

訪日ルートの多様化が指摘できる一方で、地域別の入出国港をみてみると、欧米系旅行者の多くは成田国際空港と東京国際空港を利用していることがわかる。欧米系の就航路線は東京発着の便数が依然として多く、旅行者が航空券を予約・購入する際に東京往復が好まれるといった背景が考えられる。さらに、欧米系旅行者の特徴として訪日滞在数が2週間程度とアジア系の旅行者と比較し長期である点に加え、いわゆるJRパスを活用することにより、東京を起点とした訪日ルートを組みやすいことも挙げられるだろう。すなわち、訪日ルートが多様化する中で、国籍別の移動形態や利用空港も多様化しており、ターゲット別の傾向を丁寧に把握する必要が高まってきている。

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