[ 市場レポート ]
注目されるムスリムインバウンド②
最終更新:2016-03-04 19:01:14市場レポート
2016/03/02
マレーシア、インドネシアを中心にした東南アジアの訪日観光者数が増加しています。旅行者の誘致拡大のかぎを握るのが、人口の多くを占めるムスリム(イスラム教徒)の受け入れ態勢。ムスリム旅行者の受け入れには、信仰、戒律に基づく食事「ハラルフード」や礼拝への配慮が欠かせません。
信仰に基づく生活を旅行中も実践できる環境が必要とされています。
ハラールの定義は?
ハラールとはイスラム法で「合法なもの」あるいは「許可されたもの」を指し、飲食のみならず、物品を買う際や商売を行う際にも重要な判断基準です。
飲食に関して、イスラム教において禁じられているものは基本的に3つ。
①「豚」
②「アルコール」
③「宗教上の適切な処理が施されていない豚以外の肉」
という3つの食材及びそれぞれの食材由来の調味料が禁止されています。
ハラール認証
レストランあるいは屠畜場は、禁じられている食材を使用せず、かつイスラム教上の適切な処理を行っていることが認められるためにハラール認証を申請することができます。
ハラール認証は主にアラビア文字か英文字(Halal)あるいは両方で書かれおり、日本と違い、マレーシアやインドネシアなどのイスラム圏では公式ハラール認証機関があるためマークが統一しています。
どちらにせよ、食事の際と食材を選ぶ際にムスリムはこれらのマークを大変重視しています。
ハラール認証申請
ハラール認証はイスラム教徒が生活を送るための重要なものの1つであるため、企業が認証されるまでには厳しくかつ詳しく審査を受けなくてはいけないことになっています。
ハラール認証を申請するための基本的な流れは次のとおりです。
ハラール認証の条件〜イスラム圏の国と日本の違い
ハラール認証を申請するにあたっては満たさなければならない厳しい条件があります。しかし、イスラム圏の国ではない日本はイスラム圏の国と同じ基準で判断されるのは理不尽であるため、他の国よりも条件が緩くなっています。
(ただし、機関により条件が変わる場合もあります。)
イスラム圏の国の場合
•原則、発行団体のある国で製品生産すること
•施設全体がハラールであること(ノンハラールメニューの提供は不可)
•流通も全てハラールであること
•ムスリム従業員の雇用が必要
•有資格者による施設の管理が必要
•再発行団体による定期検査が必要
日本の場合
•生産ラインがハラールであること
•特定のラインのみのハラール生産は可能
•流通は同梱を防ぐ(ノンハラール製品との運搬は可能)
•ムスリム従業員の雇用は不必要
•有資格者による施設の管理が必要
•定期検査が必要
日本のハラール認証機関及びハラール市場
日本ではいくつかのハラール認証機関が存在しています。
宗教法人 日本ムスリム協会
1952年設立、1968年6月に宗教法人として認可
NPO法人 日本ハラール協会
2010年3月発足(2010年12月法人化)
NPO法人 日本アジアハラール協会
2013年設立
宗教法人 日本イスラム文化センター / マスジド大塚
1994年2月17日創設、1997年JITは宗教法人日本イスラーム文化センター東京支部として登録される。
イスラミックセンター・ジャパン
1968年創設、1975年宗教法人として認可
マレーシア ハラル コーポレーション株式会社
■ハラール市場の国別ランキング
<ブランド総合研究所より>
オリンピックや国際会議の増加により、これからの1、2年間で訪日ムスリムもハラールも倍増する可能性があります。
日本のハラールへの取り組み
近年ではマレーシアやインドネシアなどのイスラム圏の国から、訪日外客が増加してきているため、インバウンド時から旅行の最中までハラール対応のサービスを提供しようとしています。
主なハラーム対応サービス
- 関西国際空港は、一般エリアト国際便の出国エリアの3箇所に24時間利用可能な男女別室の礼拝堂を設置。
- 中部国際空港(セントレア)は礼拝堂のほかに、隣接する男女トイレ内に「ウドゥー」(礼拝前のお清め)ができる施設を設置。
国際空港;礼拝スペース+ハラール対応レストラン
新横浜ラーメン博物館;ハラール対応
大都市でのハラール対応のレストランの開店
ムスリムの観光客向け専用ウェブサイト
ハラールマークの付いている商品
大阪、ムスリムフレンドリーガイドブックの作成