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[ 市場レポート ]

【フォトレポート】海外の民泊はどうなっているのか~カナダ・ルーネンバーグの事例~

最終更新:2016-10-17 12:34:49市場レポート

 日本では民泊に関する法整備の検討が進んでいるが、ご存知のように海外では民泊の利用・運営が一般的なこととなっている。多くの訪日外国人観光客も民泊を利用しており、観光客へのヒアリングでどこに宿泊したかと尋ねれば「エアー・ビーアンドピー」と返答が返ってくることも珍しくなくなった。そんなインバウンドを語るうえで外せない要素となった民泊だが、実際に海外で民泊を利用したことのある方はどれだけおられるだろうか。なかなか目にすることのない海外の民泊について、今回はカナダ東部ノバスコシア州に位置する港町ルーネンバーグの事例を紹介する。

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写真1 ルーネンバーグの湖畔にある民泊

 この民泊はルーネンバーグ旧市街から5kmほどの森に囲まれた場所にある。ゲストルームは1部屋で最大収容人数は2人の「ホームステイ型」民泊である。ホストでカナダ人の奥さんは息子さんと一緒に暮らしている。自分のトラクターで土地を開墾し家を建てというから驚きだ。家屋は3階構造となっておりゲストルームはメインフロアである2階に設けられている。周囲は森と湖に囲まれているため非常に静かで落ち着いた立地となっている。

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写真2 開放的なリビングルームと湖畔の風景

 家の中もホストのセンスに基づいて整えられており、開放的なリビングルームや大きな窓から見える湖畔の風景は、ホテルなどの大規模施設では体験できないものとなっている。この民泊はカヌーの貸し出しも無料で行っており、湖では気軽にウォータースポーツを楽しむこともできる。

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写真3 ゲストルームの様子

 ゲストルームはシンプルながら清掃も行き届き清潔で明るく、長期滞在にも十分な広さが用意されている。民泊を安く滞在するための手段として考えると、アメニティーや清潔感などはある程度犠牲になっても仕方がないと思われがちだが、タオルやせっけん・シャンプーなどのアメニティーも準備されており、時には冷蔵庫やキッチンを自由に使わせてくれる民泊もある。

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写真4 清潔なバスルーム

 安宿として利用されるゲストハウスやドミトリーでは汚くて当たり前の水回りも水滴一つ落ちておらず、トイレ・シャワーの使用も非常に快適なリスティングとなっている。こうしたゲストルームの居住性はさることながら、通常であればコインランドリーやランドリサービスを利用しなければならない洗濯もホストが所有する洗濯乾燥機を使って済ますことができ、駐車場やインターネットも24時間無料で提供されている。

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写真5 ダイニングと朝食の様子

 また、この民泊では朝食の提供も行っておりその点ではB&Bと同じような形態といえる。朝食についても温かいコーヒーと共に焼きたてのパンケーキや新鮮なフルーツが用意され、レストランに行けば1,000円以上するようなメニューをいただけることが旅行者にとってどれだけ魅力であるかは言うまでもない。

 さて、これだけの設備やサービスが整った宿泊施設に1泊2日滞在するといくら支払うことになるのだろうか。答えは約6,800円である。マーケットインで考えればこうした民泊が旅行者に選ばれるのは必然である。大勢の訪日外国人がすでに民泊を利用している現状を踏まえ、なぜ民泊が宿泊先として選ばれるのかを考えることで日本のインバウンドを見通す上でも有益な示唆を得られるのではないだろうか。自分自身が外国人観光客となる海外滞在の際にはこうした民泊の海外事情をのぞいてみるのもよいだろう。

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